第20話 記憶

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「そういえば君の名前はなんて言うんだい?」 私も君を呼びたい。 「あぁ、僕の名前は」  荒れた部屋の中、過去に浸る男の横には幾つもの空の酒ビンが転がっていた。腕を伸ばしビンをひっくり返すが酒が入ってないと分かるや男はまた身体を床に投げ出し、目を瞑った。  男は全てを手にいれていた。だが、本当に望んだものを最後の最後まで手に入れる事が出来なかったのだ。 「愛しているんだ、本当だよ………………智隼」  薄く開いた扉から見える自分の息子を、男は何時しか目で追っていく様になった。
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