第20話 記憶

13/20
前へ
/315ページ
次へ
 私はきょとんとした表情でいる広太の頬を撫でてやった。 可愛いなぁ 愛しいなぁ ………………俺の胸中など知ったことでは無いとでも言いたげな、君のその顔が。  撫でていた指に力が入る。俺の歪な感情がまたも“私”を支配する。いくつになっても、恋の炎は理性的な感情までをも焼き付くしていくのか。 …………ーーそれにしても、さっきからやけに見覚えのある表情だな。 反応を示さない広太を見て考える。 あぁ、そうだ。 “何時もの”広太の顔だ。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2512人が本棚に入れています
本棚に追加