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「…………広太の、両親は、あのお二人では………ない」
項垂れたオレに西岡はそう告げた。
言いづらそうに。いや、言うつもりなどなかったのだろう。襖を挟んだ部屋に長い沈黙が落ちる。オレも言葉が出なかった。
じゃあ、何か?オレは他所の家に預けられて、赤の他人のおっさんにいやらしい目を向けられて、それに怯えながら暮らしてたっていうのか?この17年間ずっと?
「………元の家に、広太の幸せはなかった」
「今のオレのどこが幸せに見えるッ!!!!」
元々薄かった体は更に痩せこけ、最近眠れたのなんてもういつか分からない。
最初はあのクソ親父だけだった。だが、あいつがオレにどのような目を向けているか察した男どもはいつからかオレを親父の“そういう”ものだと思い込んだ。実際手をだそうとする輩までいた。物珍し気に、まるでオレ自身が娯楽とでもいうように。………今や初対面の客や使用人にまで視姦される!!毎日だ。毎日毎日毎日毎日!!!!
オレは外に出るたび穢される。
「っうぅあ゛あぁ~~----ッ」
オレは唸り声と共に頭をバリバリと掻き毟った。
無理だ。耐えられない。気が狂いそうになる。
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