最終話 目覚めたら

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「俺が、全ての元凶です」 「――そんなにこの家が嫌なら、とっとと出て行きゃ良かったんだ」  流は空気も読まずにそう言った。  だってそうだろ?嫌なら出て行く、単純な話だ。  ずっと貧乏だった俺には贅沢な暮らしを手放してまで出て行く程の理由とは思えないけれど、親に借金を押し付けられ、こんな生活を送る羽目になった自分と項垂れ正気を失っていたこいつとを重ねる。  環境には同情するが……一人でも逃げればよかったんだ、こいつは。 「本当、単純なんだから」  國枝は流を鼻で笑った。
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