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今日はバレンタインデー。
我が調理部の実習メニューは、チョコレートケーキ。
いつもは週一回の活動しかないけれど、今週は特別に二回に増やして、昨日のうちにココアスポンジを焼き上げ、ここに保管させてもらっていた。
今日は、スポンジを一人分の小さめの型でくりぬいたり、間に挟む生クリームをホイップしたり、チョコレートコーティングしたりと、それぞれ仕上げの作業を終えて、他の部員はすでに部室を後にしている。
ここには、私、ただ一人。
ふいに、窓の外で長めのホイッスルと、誰かの大きな声が響いた。
グラウンドに面した一階にある調理室。
とはいえ、目隠しのように植えられた木々で、外の様子を見ることはままならない。
しばらくすると、一人分の足音が近づいてきて、それらがサッカー部の休憩の合図だったとわかる。
カラカラカラ ―――――
窓が開き、いつもの様に声をかけられる。
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