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くりぬいた後のスポンジの残りを小さくちぎり、ホイップクリームを餡にして、一口大に丸めておいたものを小皿にのせ、溶かしたチョコレートを少し多めにかけた。
それを持って窓際に移動し、伊藤くんの目の前に差し出した。
いつも見上げている彼の顔は、校舎の外にいる為私の胸辺りの位置にあり、この時だけは私が見下ろすことができる。
「ケーキの材料のあまりで適当に作ったから、イビツなのは大目に見てね」
伊藤くんは皿の上の物を見つめてから、私に視線を移した。
「食べさせて」
「へっ!?」
「だって、俺の手汚れてるじゃん」
そう言いながら、彼は両手を肩のあたりまで挙げて、ヒラヒラとさせた。
「じゃ、じゃあ、フォークを・・・」
「いいから食べさせて」
・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・ちゃんと口開けてよ」
お箸を使って食べさせてあげたことはあったけど、こんなことは初めてだ。
なんなの、この状況ーっ!!!
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