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モヤモヤした気分になりながら、まだ温かいチョコレートがたれないように注意して、親指と人差し指でつまんだそれを伊藤くんの口の中に入れてすぐに手を引っ込めた。
つもりだった ――――――
二本の指の先は彼のくちびるに挟まれて、更には付いていたチョコレートを、舌で舐められてしまった。
「・・・・・っ!!! 」
一気に頬が熱くなる。
「いまっ、指っっ!指舐めたでしょっ!」
「だって、勿体ないじゃん」
「そういう問題?!」
解放された指と、伊藤くんの顔を交互に見て狼狽える私とは対照的に、彼は余裕の笑みを浮かべている。
「それより、残りのチョコも食べさせてよ。また指でいいからさ」
今度は、自分の意志で口に指をつっこめと言うのだろうか。
「じゃあ、スプーン・・・・・」
「だーめ」
伊藤くんなんだか、変。
いつもはもっと優しいというか、とにかくこんな意地悪なこと言うタイプじゃないのに。
――――― 私に対しては。
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