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そんなことを思いつつ、皿のチョコレートを指先で、出来るだけ綺麗に拭いとってから伊藤くんを睨むと、彼はにこにこしながらこちらを見ていた。
うー・・・・・・私だけこんなに追い詰められるなんて、ずるくない?
こうなったら、こっちからもなにか ――――――
面白がるような様子になんだかカチンときて、チョコレートを伊藤くんの口元に塗りつけてから、そこに自分のくちびるを押しつけた。
「!!!」
後ずさりしつつ窓際から離れると、彼はまだ驚いている様子で身動きひとつしない。
そこから目を離さずに、くちびるに移ったチョコレートをペロリと舐める。
「・・・・・まだ甘過ぎる感じしない?」
「あ、あぁ・・・・・」
「ビターチョコ、全部いれちゃおっと」
伊藤くんがぼんやりしている間に、彼に背を向けて作業台に戻り、残っていたビターチョコレートをボウルに入れて仕上げに取りかかった。
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