たった10分くらいの出来事

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「チョコは媚薬とか言うじゃん」 「私のせい?!」 いや、そうじゃない。 もし、チョコレートのせいだとしても、俺は。 「まぁ、そんな"なにか"が無くたって俺は・・・・・・」 山下さんに触れたいんだ。 手を伸ばして、少し高い位置にある山下さんの頬をそっと撫でる。 彼女はピクリとはしたものの、避けることなく、俺の手にそっと自分の手を重ねた。 「皓貴ー!そろそろ集合だぞーっ」 サッカー部の友人の声で、お互いの手が離れる。 「あー・・・くそっ。後で迎えに来るから!チョコは・・・」 「食べないなら、みんなに・・・」 「だめ!」 そう叫びながら、集合場所へと走り出す。 あのチョコレート。 すでに甘さ控えめに調整されていたけれど、ココアパウダーがかかると苦味の強い物になるだろう。 うん、まさしく俺好みだな。 あれ・・・? もしかして、あのチョコ、俺のために? だとしたら・・・・・・、彼女の名前を呼ぶ日も近いかもしれない。 山下さんの温もりが残る手を、グッと握りしめた――――――――― end
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