たった10分くらいの出来事

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「あ、あぁ・・・・・」 山下さんが見せた表情に、目が離せなかった。 マジで、今日は一体どうなってるんだ。 いや・・・それより、キス・・・キスされたんだよな?! なんでこんなこと? 好きなやついるんじゃないのか? ふざけてこんなことする様な子じゃないし。 じゃあ、ケーキの行方は? 頭の中でぐるぐる考えながらも、体は勝手に動いていて、両手で服についている土埃を払っていた。 スパイクを脱いで、窓から室内に入る。 すかさず窓際の流しで、肘までを丁寧に洗う。そうしないと、山下さんに注意されるのだ。 勢いで入ってきちゃったけど、どうするんだ?俺。 少し考えて、静かに深呼吸。 傍にあったキッチンペーパーで水分を拭き取りながら山下さんに近づくと、彼女は溶かしていたチョコレートを、容器に流し込んでいる最中だった。 ボウルに付いている分もヘラで集めて入れている。 「残ってるのちょうだい」 「いいけど、もうあまり無いよ」 さっきの事はなかった様な態度で俺にボウルを渡すと、山下さんは容器を軽く揺すったりして、チョコレートの表面を平らにしてからナッツやドライフルーツを等間隔に散らしていた。
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