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「あ、あぁ・・・・・」
山下さんが見せた表情に、目が離せなかった。
マジで、今日は一体どうなってるんだ。
いや・・・それより、キス・・・キスされたんだよな?!
なんでこんなこと?
好きなやついるんじゃないのか?
ふざけてこんなことする様な子じゃないし。
じゃあ、ケーキの行方は?
頭の中でぐるぐる考えながらも、体は勝手に動いていて、両手で服についている土埃を払っていた。
スパイクを脱いで、窓から室内に入る。
すかさず窓際の流しで、肘までを丁寧に洗う。そうしないと、山下さんに注意されるのだ。
勢いで入ってきちゃったけど、どうするんだ?俺。
少し考えて、静かに深呼吸。
傍にあったキッチンペーパーで水分を拭き取りながら山下さんに近づくと、彼女は溶かしていたチョコレートを、容器に流し込んでいる最中だった。
ボウルに付いている分もヘラで集めて入れている。
「残ってるのちょうだい」
「いいけど、もうあまり無いよ」
さっきの事はなかった様な態度で俺にボウルを渡すと、山下さんは容器を軽く揺すったりして、チョコレートの表面を平らにしてからナッツやドライフルーツを等間隔に散らしていた。
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