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「どうすんの?それ」
「しばらく冷やしてから、ココアパウダーをまぶして完成よ」
山下さんは冷蔵庫へと移動して、容器を中へ入れた。
俺はその間にボウルに散らばっているチョコレートをヘラで必死に集めて人差し指で掬いとり、それを見つめた。
うーん・・・
戻ってきた山下さんは、後片付けを始める。
「山下さん」
「なに?それも片付けるんだから、早くしてね」
彼女は返事をするが、こちらを見ない。
やっぱりさっきの事、意識しているのかもしれない。
「山下さん」
もう一度声をかけたが、それでもこちらを見ようとしない。
「・・・・なに?」
少し、勇気を出してみる。
「・・・・碧珠」
「えっ?」
驚いた山下さんは、ようやくこちらを向いた。
何かを言いかけて開かれたその口に、俺はチョコレートが付いた指を差し込む。
「んっっ!!」
突然のことに、山下さんは目を見開く。
思わずやってしまった。
自分の行動に驚きつつも、そのまま、彼女の口の中の至る所にチョコレートを塗りつける。
「おいしい?」
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