四.

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「でっけえな・・・  黒いドラゴン!  これ以上畑を荒らすんでねぇぞ!」 サジタはドラゴン退治の剣を構え、技を繰り出す態勢に入った。 「くっ・・、間に合わない!」 レオはサジタに何か合図を送る手段を考えた。 「スーパーストロング リトアタック~!」 「サンダーストーム!! 弱!!」 両者の掛け声はほぼ同時であった。 「うぎゃっ!」 小さな雷撃に包まれ、黒こげになったサジタはその場に倒れた。 しかし、サジタの放った斬撃は既にブラックドラゴンの心臓を貫いていた。 「ギャアォォォォ・・・・・」 走り寄るレオの眼前でブラックドラゴンの巨体はゆっくりと沈んでいった。 「サジタさん!!  逃げましょう!!」 黒こげのサジタを背負ってドラゴンの亡骸に背を向けるレオの足元に黒い霧が立ち込めた。 「あ、あんちゃん。 いってぇ どうなってんだ?」 電撃を加えたレオに背負われ状況がつかめないサジタ。 そのとき二人の目の前に鈍い光を放つ刃が現れ行く手をふさいだ。 ふりかえると黒いローブに身を包んだガイコツが立っている。手に持っているのは巨大な鎌であった。 「死神・・・か」 レオだけがすべての事情を把握していた。 死神から発せられる黒いオーラは霧のように足元に立ち込め、レオの動きを封じていた。 逃げることはできない。 『ドラゴンを殺した者の魂を持ちかえる約束だ』 死神が二人に話かける。 『殺したのは背中の黒こげの方だな』 サジタはさきほどの死神のセリフでおおよその事情は理解した。 自分の魂がとられようとしている。 しかし、レオがそのことを承知していたとまでは思わなかった。 「お前ぇだけでも逃げろ・・・」 死神がどうやって魂を奪うのかは分からなかったが、ドラゴンを殺していないレオが巻き添えになることは避けたかった。 しかし、レオは黒い霧のせいで身動きがとれない。
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