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「あ、そうだ。
あんちゃん、おいらアレからずーっと考えてたんだけんどよ、
ほれ、あの サンダーなんとかっての。
ああいう掛け声があったらよかんべと思ってな」
サジタはドラゴン退治の剣をまっすぐ上に掲げながら叫んだ。
「スーパーストロング リトアタック~!!
な、雰囲気出るべ!?」
レオとカストルは目を丸くしたまま顔を見合わせた。
誰かが「勇者リト」についてサジタに教えたのか?
レオは無言のまま首を横に振った。
「あ、リトってのは ウチで飼ってるべこ(牛)の名前ぇだ。
ほれ、剣のここんところの模様がべこの顔みてぇだろ?
こいつは リトの剣 だな」
レオとカストルは呼吸が止まっていた。
「んだば、ちゃちゃっと済ませてくっから。
待ってろ!」
サジタはブラックドラゴンの元へ駆けていった。
呼吸を取り戻したカストルは口を開けたままのレオを揺さぶった。
「ちょちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってください!」
「もしかしたら、神様がよこした異界の住人というのは、
数百年前の 勇者リト本人だったのかもしれません!!!!」
「な、なんだってぇ~~~、
あんなのが勇者リトだってのか?」
かけはなれたイメージに衝撃を受けるレオ。
しかしカストルは重要なことに気が付いていた。
「もし、彼がドラゴンを倒して死んでしまったら・・・・
勇者リトの子孫は生まれないことになってしまいます」
「へ? 子孫って、オレは?」
レオはまだピンと来ていない。
「あなたも、あなたのお父さまも、ここで勇者リトが死んでしまったらいるハズがないんです」
「じゃあ、オレはどうなるんだ?」
「まったくわかりません。
もしかしたら存在が消えてしまうのかも!!」
「き、消えるって、ちょ・・・・
サジタが死んでオレも消えたら なんにも意味がないじゃないか!!」
パニック状態の二人はあわててサジタを呼び止めたが、騒然とした戦場でその声はかき消されてしまった。
「ちくしょう、はじめからオレが行けば・・・!」
レオはサジタの後を走って追いかけた。
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