つながる想い

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「そんな事を言われても」  困る。  自分の作った物で暖かい気持ちになるなんて、そんな事を言われたのは初めてだ。 「顔、真っ赤」 「うるさい」 「かわいい」  そうはっきりと言われるようになったのは、つい最近の事。誕生日にカップケーキを焼いてやった日からだ。  俺は女じゃねぇし、しかも周りから怖がられている奴に言う台詞じゃない。 「お前の目は腐ってんのかよ」 「ごめん」  ふ、と、唇に柔らかいものがふれた。  俺、アイツとキスしてる? 「んぁっ」  舌が歯列を撫でて舌に絡みつく。それがぞくぞくするくらい気持ち良くて、頭がぼっとしてきた。 「きもちいい?」 「う、ぁ」 「おれも」  ちゅっと音をたて、唇が離れる。 「あぁ、涎」  親指で唇を拭われ、そこで我に返って後ずさる。 「おま、何をっ」 「キス」 「なんで」 「なんとなく」  しれっと言われて、俺の手が神野の頬を殴っていた。 「いたぁっ」 「さっさと学校に行けよっ!」  出て行けと玄関を指さす。 「葉月」 「俺は、なんとなくでキスしねぇ」  馬鹿にされた。アイツにとってなんでもない事なんだ。 「え、あ……」 「出てけよ」  狼狽える神野の肩を押すが立ちつくして動かない。それに痺れを切らし、腕をつかむと乱暴に引っ張りながら玄関へと向かう。 「まって、違う」 「二度と来るな」  言い訳なんて聞きたくない。神野を外へと追い出すと玄関のドアを乱暴に閉じた。  
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