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「そうか。じゃぁ、なんで俺の作ったモンは食えたんだ?」
俺と御坂はただ同じクラスというだけの関係だ。そんなトラウマがあるというのに何故、俺の作った物を食べたのだろう。
そのこたえは「神野が気を許していたから」からだった。
「どういうことだ。アイツは誰にでもそうだろう」
あいつは誰とでも仲良くできる男だ。俺とだってコミュニケーション能力が高いから話せるだけだろう。
だが、御坂は違うと首を振るう。
「聖人の家の事は聞いた?」
「あぁ」
「周りにいるクラスメイトとは上辺だけの付き合いで、聖人は信じた者しか自分のテリトリーに入れない。だから俺も君を信じられるなって」
「いや、でも……」
神野と御坂は深く互いを信頼し合っている。別にそれは俺には関係ない事だからどうでもいい。
だからといって俺まで信用しようとしないでほしい。
「困る? でも、君はお弁当を作ってあげていたんだよね」
「アイツが勝手に食うから」
「本気で拒めばいいだけだよ。そうしたら近寄らない」
その通りだ。関わりあいたくないと思いながらも、美味しいと言って食べてくれるのが嬉しいから、本気で拒まないんだ。
「駄目だよ、そんな顔をされたら僕だってつけあがっちゃうかも」
そっと顎を掴まれると顔を上向きにされ、御坂の顔が近づいてくる。
キスをされるとそう思い、俺はガードをするように腕をクロスにし隠した。
「ほら、ちゃんと拒めるじゃない」
「え?」
顎から手が離れ、御坂が自分の唇をトントンと指さす。
「聖人にされたんでしょう?」
何故知っているんだと御坂を見れば、電話があったのだと教えてくれた。
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