その1 冬の夜

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突然目が覚める── 「ああ、またか……」 最近、寝つきが良くない上によく夜中に目が覚めてしまう。 しばらく布団の中でゴロゴロしていたが再び眠りにつくことが出来ず、 逆に目が冴えてきてしまった。 諦めて部屋の電気をつけると、 暗闇に慣れていた目がしょぼしょぼしたのですぐにまた消した。 「のど乾いたな」 ウチには冷蔵庫がない。 この狭い部屋には敷布団とテレビ台のないテレビだけ。 平日は会社と家の往復だけで、特に困ってもいない。 こんな20代後半の俺みたいな男は珍しくもない気がしている。 「……っ!」 急に何か白い影が横切った気がして振り返るが、そこにはただ暗闇が広がっている。 「……疲れてるのかな」
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