その1 冬の夜

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思わず振り返ると、 暗い車道の向こう側の歩道に白いワンピースを着た女の子の姿がはっきり見えた。 「ご、ごめんね……大きな声出しちゃって」 (そうだ。家から近いし、もう一度お金を取りに行けばそれで済む話だ。  往復でたかが2分。すぐ近くじゃないか) 冷静になってみると、 こんなことで大人げない行動をした自分が急に恥ずかしくなった。 家に戻り財布ごと持って外に出ようとした時、ふと違和感に気付く。 (こんな時間に……女の子?) 見た限り、背丈は小学生くらいで……こんな夜中に…… 瞬間、冬の寒さだけではない悪寒が走る── それでもどうしても黒い炭酸が飲みたかった俺は、 “?”マークの缶を一度も使っていない小さなキッチンに置き、再び家を出る。 (もしかしたら、ただ背の低い大人かもしれない。  そんなのよくあることじゃないか) そう自分に言い聞かせるが、 自販機に近づくと、やはり車道の向こう側に目がいってしまう……
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