その1 冬の夜

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人の姿はない。 (やっぱり勘違いだったんだ) すっかり安堵し、今度は予定通り黒い炭酸を買い、 車道の向こうを振り返ることもなく、急いで家へと戻る。 (片道1分……) 通常より急ぎ足で歩いたから、きっと30秒くらいで着いた。 ガチャッ 家の扉を開けた瞬間、俺の安堵は飛んで行った。 「おかえり。このジュース、美味しかったよ?」 さっき買った“?”マークの缶を持ち、目の前で微笑んでいるのは、 車道の向こう側に立っていた、あの白いワンピースの女の子。 俺はそのままその場に倒れた──
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