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副社長に付いている奴から
『ねぇねぇこの人、刑事って人に会っていたよ』
え?刑事?告発でもするのか?
どうやらそれだけではなく、会社を辞めて別の会社を立ち上げるようだ。俺の予想が当たった。
副社長の真意は聞けなかったが、事情を奴から聞く事ができた。
こういう事が何度か続いた。
受け手側の、俺がいろいろ考える事ができるようになってきたからだ。
暇になるといろいろ考えてしまう。
一番の疑問は、俺に付いている奴と話をした記憶が殆ど無い。子供の頃に話を聞いた記憶はある。記憶が有るのだが思い出せない。そもそも、俺は、高校以前の記憶が曖昧なのだ。両親や祖父母や姉が居たのは覚えている。覚えているが、高校では一人暮らしだった。支援者と名乗る人が毎月様子を伺いに来た。俺自身が記憶が曖昧だというと、悲しそうな顔をして違う話を始める。そんな事が数回行われてから、俺は俺の事や家族のことを聞くことを辞めた。どうやら、俺は本当の名前が違うようだ。名前が変わっているようだ。これは、社会に出てから気がついた事だが、それで問題はない。大人たちが隠した過去を調べても、ろくな結果にならないのは解っている。
「田村。この後は?」
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