ただのクラスメイト

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「どうしてそんなに驚くんだよ」  赤彦は何食わぬ顔で話してくる。  青斗は驚きのあまり腰が抜けてしまい床にへたり込んでしまった。  パンツを少しだけ濡らしてしまったが床に大きな染みを作るよりは全然ましだった。  格好悪い。冷静な自分がこんな惨めになるなんて耐えられなかった。  両足に力が入らず立ち上がることが出来ない。  口がパクパクと動くだけで声も掠れて出てこない。 「何?声に出してくれないと人には伝わらないよ」  二ッと頬を上げて赤彦は話しかけてくる。  これは何?幻なのか、夢なのか?確かに、青斗の目の前に赤彦が存在している、見下ろして話しかけてくる。いや、今、君は人なのか?  青斗と同じ制服を着て、学年カラーであるつま先が青色の上履きを履いて立っている。  死んだはずのクラスメイトが。  青斗は冷静になろうとゴクリと唾を飲み込んだ。冷静に、冷静に。  クールで一人でも生きていける空元青斗はこんなことで動揺しない。いや、こんなことというには凄まじい出来事が起こっているのだが。  きっと夢に違いない。そうだ、勉強のし過ぎで眠かった気がする。  BGM代わりに聞いていた曲は確かクラシックか何かだった気がする、昨日の夜も遅くまで勉強していたので眠ってしまったのだ。  右頬を勢い良く叩いたが鋭い痛みが頬から全身へ伝う。あれ、夢じゃ無いの? 「ちょっと、何してるの。もしかして夢だと思ってる?」 「夢じゃ無いの?」  赤彦が呆けた顔をしている。青斗が何も言えず口をポカンと開けていると赤彦はお腹を抱えて笑い出した。
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