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「ははは、青斗君って常に冷静な男だと思っていたけど全然違うんだね。意外だったなー。夢じゃ無いよ、リアルな世界」
「誰だってこんな場面になったら冷静でなんていられないよ。霊媒師とかだったらまだしも俺はごく一般的な高校生だ。それにしてもこれは現実なんだ……」
冷え切っていた体が徐々に体温を取り戻していく。
異様な状況には変わりはない。けれどもここで何故だ、どうしてだと一人で考えたところで解決する問題ではないのが事実。
そうしたのならば赤彦本人に聞けばいい話だ。
状況が分からなければ飲み込んで消化しないと理解できない。
「確かに、俺も自分が逆にやられたら水たまり作ってるな絶対。そう思うと青斗君はものすごい冷静な男だ。今俺と面と向かって話してるもんね」
感心したように腕を組んで赤彦は何度も頷いた。
青斗はやっと全身に力が戻り膝に手をついて立ち上がり尻を叩いた。
お互いの視線が正面で交わる。
「聞きたいことが山ほどあるんだけど今はまだまとまっていないから、とりあえず一つだけ聞いてもいいかな?」
「いいよ。何でも聞いてよ」
「君は本当に死んだんだよね?」
青斗は目の前にいる赤彦が本当に死んでいたのか不思議でたまらなくなった。
確かに赤彦の葬式には出た。クラスメイト全員で、泣き腫らした家族の姿も脳裏に焼き付いている。
赤彦は一瞬戸惑った表情を見せたが顔を反らして灰色の空を眺め、青斗の方へ向き直り片口を上げた。
「ははは、まだ夢だと思ってるんだ。勿論、俺は死んだよ」
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