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何故、人は涙を流すのでしょうか?
ネットや本、そこら中に答えは転がっているのだろうけれど、そんな答えを求めているわけではない。
悲しかったら泣くのは当たり前だろうというのも、痛かったら自然と出てしまうものと考えれば馬鹿でもわかる。
空元青斗は立ち尽くしていた。
声を押し殺して泣いている人、歯を食いしばって涙を堪えている人、周りの人たちに支えられて何とか立っている人。
青斗の周りの人々は皆、滝のような涙を流している。
自分だけが場違いな雰囲気を醸し出し周りの景色に馴染もうと思っても泣き方が分からない。
「まさか、虹が死ぬなんて」
「金曜まであんなに元気だったのに」
ポツリポツリと聞こえてくるクラスメイトたちの嘆きの声。
おいおい、彼が生きている間は「空気読めない」とか「イラつくんだけど」とか陰でこそこそ言っていたくせにここでは泣くのか。
雰囲気にのみ込まれて泣いているクラスメイト達にはうんざりする。
どうせ数日経てば彼の事なんて忘れて日常を楽しんでいくのだろう。
再びこのような場所に来るのはまだまだ先だろうと思っていたが人生というのは分からない。
まさか同級生の葬儀に出るなんて思ってもみないではないか。
つい最近まで笑っていたクラスメイトの少年の顔が今は仏壇の中の写真におさめられている。
溢れんばかりの太陽のような笑顔。今すぐにでも飛びだしてきそうだが彼が出てくることはない。
柩の中で静かに眠っている。
そうここは、クラスメイトだった虹川赤彦の葬式会場だ。
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