泣き方がわからない

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 赤彦はクラスで特別目立つタイプでもなければ、委員長を務めようとする真面目なタイプでもない。  目立つグループのいじられ役をかって出るお調子者というのが一番いい例え方かもしれない。  クラスの空気が悪い時に盛り上げようとふざけてみて反感を買ったり、誰彼構わず話しかけていく空気が読めない奴だった。  これまた成績が学年最下位レベルでテスト前になると毎回青斗に授業のノートの写しを貰いやってくるのだ。  青斗もそのときぐらいしか赤彦と会話をしたことが無い。  他に話したことがあったかもしれないが印象に残っていないのだ。 「青斗君、毎回申し訳ないんだけど今回もノート見せてくれないかな?」  またかと思いつつも声には出さず、貸したくないと言ったら赤彦が騒ぐのは目に見えていたので静かに頷いた。  教室の中で注目を浴びたくないのだ。 「別にいいよ。どれが必要なの?」 「希望を言わせていただくと全部かな」  そうだろうと思ったが何も言わず溜息を一つ吐いて、鞄の中から一冊のバインダーを取り出し赤彦に渡した。 「全教科の大事なところピックアップしたやつ。各教科のノート写すよりこれやれば赤点は免れると思うよ」 「ありがとう!」     
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