ただのクラスメイト

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 秋風に吹かれながら自転車を走らせる。  スピードが出てきたのでもうまっすぐ走ることが出来る。  カンカンと音を立てる踏切、勢いよく追い抜かしていく車の群れ、楽しそうに話しながら大きいランドセルに背負われている小学生。  代り映えしない光景に飽きることはなく淡々と過ごす毎日。  常連客となっているコンビニに到着し、メロンパンと焼きそばパン、鮭とツナマヨネーズのおにぎり、そしてオレンジジュースのパックを手に持ってレジへ向かう。 「あんた毎日同じものばかりで食べ飽きないの?」  ほぼ毎日顔を見合わせるおばちゃん店員の田中さんが話しかけてくる。  通い始めて二カ月が過ぎた頃から話しかけてくるようになった。 「好きなんですよ。これがないと一日が始まらないんです」 「そうなのー。変わってるわね」とこれも毎日聞くセリフ。  レジ打ちをしている最中も田中さんは「私の息子がね」「旦那がね」と身内の話を延々と語り出す。  青斗は愛想笑いでやり過ごし会計が終わると「それでは」と小さく会釈してそそくさとコンビニを出た。     
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