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去年と同様に俺のもとへとチョコが集まる。背は低いけど父さんと母さんの血のおかげで見た目は綺麗に生まれた。そこは感謝しないといけない。
教室のいつもの席に座り、チョコを笑顔で受け取りながらホームルームの始まりを待つ。
チャイムが鳴り、担任が教室に入るなり俺に声をかけてきた。
「吉永、お母さんが忘れ物持ってきたぞ」
その担任の裏から母さんが顔を出した。セーラー服を手に持って。
「もう!駄目じゃない!忘れたら、みんなも着て欲しいよね?」
「着てーー!!」
「見たーーい!!」
女子が騒ぎ出した。
「イヤだーー!!」
「何を言ってるの?あなたのお父さんも着たのよ!?男の娘だったのよ!?」
教室でそんな暴露をするなーー!!
俺は教室から逃げ出そうと後ろの扉に駆けていく。
「これがお父さんが男の娘だったときよ!」
母さんがピラピラと朝俺に見せた父さんの男の娘だった学生時代の写真をクラスメイトに見せつける。
「可愛いーー!!」
「お父さん、素敵ーー!」
俺は逆走して母さんから写真を取り上げる。
「そんなの見せるなーー!!」
母さんはびくりと肩を震わせて涙を流した。
「そんなに怒んなくてもいいじゃない……。お母さんはあなたの男の娘の姿が見たいだけなのに!」
担任が俺の肩を叩く。
「お母さんを泣かせちゃいけないよ。男だろう?」
え?俺が悪いの?
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