お父さんはね、男の娘だったのよ

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「お父さんはね、男の娘だったのよ」 「は?」 母さんがバレンタインデーに包みを渡してきたと思ったら突然にそんな告白をされた。 正直、俺は学校でも結構チョコを貰えるから母さんからは別にいいやと思ってたのだけど、親を邪険にしたい訳ではないのだから一応包みを受け取る。 「学生時代の男の娘のお父さん可愛かったわー」 俺は手渡された包みに視線を落とす。不安になる。 「これ、チョコじゃないの?」 「うふふ。チョコよりずっといいものだから」 母さんも美人の部類だが、四十代になってもミーハーで、どこか吹っ飛んでいるところもある。 父親が男の娘やってたのよという事実もかなり驚愕だが、母さんなら父さんに十二分にやらせかねない。 「……開けていい?」 不安に駆られて取り敢えず心配を取り除こうと尋ねると母さんは満面の笑顔を見せる。 「もちろん!そして着てみて!」 俺は地雷を踏んだのかも知れない。
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