9人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「男の娘ぐらいやってやればいいじゃん!」
「お母さんが可哀想でしょ!」
女子たちが騒ぐ。
え?俺が悪いの?
「男のーー娘ーー!男のーー娘ーー!」
クラスメイト全員が大合唱。
「ね?お願い?」
母さんが上目遣いでお願いしてくる。
担任がまた俺の肩を叩く。
「お父さんもやったんだろ?怖いことはないさ」
あなたが怖いんですが?
男子たちが俺を囲み、着替える俺を隠してくれた。
というかこれは強制というやつでしかない。
囲む男子たちは俺がセーラー服に着替えるのを見て声をあげる。
「おお!可愛い!」
セーラー服に着替え終えると男子たちは囲みをとく。それと同時にスマホカメラのシャッター音が響く。
「可愛いーー!!」
女子たちが叫んで撮ってくる。その中に紛れて母さんもいる。
「やっぱり男の娘は最高ね!絶対孫にもさせるわ!」
父さんも男の娘の姿を撮られていたときに母さんに『絶対息子にもさせるわ』とか言われたのだろうか?
こうして今年のバレンタインデーは俺にとって黒歴史となった。
将来結婚して子供が出来たなら絶対女の子がいいと思った日でもあった。
了
最初のコメントを投稿しよう!