Ⅳ. 第2話 夢への第一歩

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 優がバーテンダーと笑い合うと、席を立ち、下半分が琥珀色のオールド・ファッションド・グラスと共に戻ってきた。 「ごめん、ごめん、つい向こうで話し込んじゃって」  そんな暢気な様子を見守ると、少し意地悪をしてみたくなった。 「桜木さんが付き合っても彼女と続かない理由、なんとなくわかったんですけど」 「え? いきなり?」  少し驚いている優と「えっ? なになに?」と興味津々な榊が、真由稀を覗き込む。  真由稀は、にっこりと微笑んだ。 「教えてあげません」 「えーっ、なんだよ、それ!」 「なんで榊さんが残念がるんです?」 「いや、俺が考えてることと同じなんじゃないかと思って」 「ああ、なるほど。……そうかも知れませんね」 「おーっ!」  榊が感慨深い声を出した。 「初めて、北埜さんと俺の意見が一致したな!」 「そう言えば、そうですね」  優だけが、きょとんとした顔で、二人を見つめている。  その顔が見られて満足だとでもいうように、真由稀は笑っていた。 「教えてなんて、あげませんよ。そこまで、私、お人好しじゃありませんから。自分でなんとかしてくださいね。強いて言えば、……そうですね、あんまり無自覚なのもどうかと思いますよ」  ますます優はわからない顔になり、榊は可笑しそうに笑いを堪えていた。
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