Ⅳ. 第4話 「アラウンド・ザ・ワールド」&「アクア」(*)

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 みなとみらいを一望出来るバー『プロムナード』に予約を入れた蓮華は、招待した祖父に、改めて、バーをやっていくメンバーとして、バーテンダーの優、料理を担当する友人の新香、経理を担当する京香を紹介した。  店の開店は当分先ではあるが、記念にと、「冒険」のカクテル言葉を持つ『アラウンド・ザ・ワールド』を結月に注文し、アルコールに強くない京香には、『アクア』を頼み、新しい世界に向けて祝った。  カクテルグラスの縁に飾られた鮮やかなグリーンのミントチェリーがアクセントになった、大陸と海洋を表す若葉のような柔らかいグリーンのアラウンド・ザ・ワールドは、ジンとミントの爽快さにパイナップルの甘さと程よい酸味がやってくる。 「ジュール・ヴェルヌの『八〇日間世界一周』のようだな。このカクテルが生まれた数十年後の1956年に映画になり、大ヒットし、アカデミー賞を五部門で受賞したのだよ」  水城が懐かしそうな笑顔になり、グラスを傾ける。  『アクア』もミント味にライムの酸味、トニックウォーターの甘味とほろ苦い後味が加わると、不思議と海の味を連想させた。 「(あお)い色に、炭酸の細かい泡が、珊瑚が見える海みたいに綺麗。味も海みたいなイメージで、塩が合いそうね」  うっとりとした京香が、フルート型グラスの中の碧く美しい飲み物をかざして眺める。
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