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「優さんのこと、好きなんですか?」
「人として好きよ。あたし、優ちゃんと一緒にお店をやることにしたの。あたしの思い描くお店では、彼は必要不可欠なの」
「それは、男として好きで、ましてや付き合いたいとか、そういうわけではないんですよね? この間も言いましたけど、……僕は蓮華さんが好きです。僕じゃだめですか?」
すがるような視線を向ける彼に、蓮華は宥めるように笑った。
「今はお店のことで頭がいっぱいだから、ちゃんと彼女らしいことは出来ないと思うの。夜だって仕事だし。きっと、楓くん、つまんなくなるわ」
「それでもいいから……。それとも、僕が蓮華さんを想うのは迷惑?」
どこか危なっかしげでアンニュイな彼が、せつない瞳で見つめると、蓮華はわずかに首を横に振った。
蓮華の予告通り、なかなかプライベートで会えない二人であったが、数週間後、楓から「風邪で熱がある」とメッセージが送られてきた。
『今は熱の風邪が流行ってるみたい。風邪薬とか食べたいものとかある?』
『薬ない。食欲ない』
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