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優と蓮華、新香は、新しい店の打ち合わせのためカフェに集合していた。
時折、蓮華の働くスナックに、優も顔を出していた。接客の様子や、飲み物や酒の肴を差し出す所作などからは品の良さが見られ、普段の友達付き合いからは想像も出来ない面をいくつも目にした。
喋り続ける年配客にもにこやかに頷き、見え透いたお世辞ではない気遣いも、彼女の返答から感じられる。
意外とママに向いているのかも知れない。
男ばかりの職場で働いてきたせいで気が付かなかったが、女性が一人いるだけで随分店の雰囲気は変わる。しかも、酒を作る専門のバーテンダーではなく、接客専門の女性。
蓮華とは知り合ってから三年以上が経つ。
その間に髪が伸びたこともあるが、大人びて、綺麗になった。
特に、最近は表情に柔らかみが加わり、自然な笑顔が映え、眩しく感じられるほどだ。
理由は、わかっていた。
楓と付き合い始めてからだということも。
これまで以上に笑うことが増え、妙にテンションが高かったり、些細なことで憂えていたり、彼女がちょっとした情緒不安定に陥る時は、大抵、恋をしている時だとは、優にもわかっていた。
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