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絶望少年の夢
この世界にはたくさんの種が居る。
獣人、鬼、人魚、悪魔、神。
しかし、一番恐ろしいのはーーー
*
僕は不幸だ。
「おい、遅かったじゃねぇか。」
くたくたの足で店の裏口を出ると、そこには鬱陶しい程の金髪の男数名が、待ち構えていた。
「.......。」
この人達はずっと昔に返し終えた借金の取り立てに来ている、チンピラの様な人達だ。
「さてと?今週中に返せなかったらまた30倍になるぜ?」
絵に描いた様な法外な利子。
でも、そもそもこの国には法律なんてものは無い。
この国は隣国達の侵略を防ぐために元々ここにいたマフィア達で作った国。
最早国というより地域だ。
そんな国でマフィアに刃向かえる筈がない。
「お前さんのお母さんもさぞかし苦しんでるだろうなぁ。でも返せないんだから仕方ねぇよなぁ。」
男達は僕を取り囲むと、ズボンの中に隠し持っていた薬を取り上げた。
「........!!それは関係ないでしょ!」
焦って取り返そうとするが、男達は笑いながらそれをさも動物ショーのエサやりのように寸前の所でくいっ、と上に上げる。
「これを売って金にするんだよ。全然足りねぇけど足しくらいにはなるだろ?」
疲れ切った足に力を振り絞って飛ぶ。着地の 度に膝が笑ってその場にへたり込みそうだった。
「コレが無いと、お母さんが.....!」
「じゃあ、新しい薬でも買えばいいじゃん。あ、そんな金無かったな!」
やけに嘲笑めいた笑い声が僕にまとわりついた。僕等家族をこんなにも苦しめたこいつ等が憎い。死ぬほど憎い。
でも、この国では僕の様な人達は屈服するしか無いんだ。
「おおい、ボウズ。もうこんなのやめて欲しいか?」
とうとう重力に吸い寄せられ、地面に膝を付けてしまった僕の頭上から声が降ってくる。
反応して顔を上げてしまった。
瞬間、鈍い衝撃。
鼻腔から生暖かいものがわき、口内に鉄の味。
顔面を殴られたんだと気付いたのは、馬鹿にする笑い声を聞いてからだった。
「ハハハ、きったねぇ顔面。こんなんで恥ずかしくねぇのかよ」
痛みに耐えられず土に広がっていく血液を見つめていると、そこに一つの紙と封筒が落ちてきた。
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