第1部 幕開ける卓球物語

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第1部 幕開ける卓球物語

日本が異世界に召喚されてから混乱する事もなく 日本は平和に異世界と条約を結んだらしい。 どうやらお互い言葉が通じるようだ。 日本国金沢市にて…… 序章にて紹介した16歳にしてニート、雪村皐月ユキムラサツキは今日も引きこもり生活を満喫していた。 カタカタとキーボードの叩く音が響く部屋の中、サツキはヘッドホンをつけネトゲに没頭していた。 「はぁ、周回終わり…」 トントンと扉を叩く音が聞こえた。 「ユキムラちゃん~♪ご飯持ってきたよ~」 「ああ、マチヤさん。どうも」 この人はサツキの養い親、待也桜智マチヤサチ。 カタンとカツサンドを置かれ、すぐさまカツサンドにかぶりついた。 「そうそう、サツキちゃん。おつかい行ってもらえないかしら?」 マチヤさんに渡されたのは買い物リストと書かれたメモだ。 「またか、本当疲れるなぁ」 できれば外には出たくない。 この世界では卓球による決闘は認められている。 金沢大通りにて 卓球の強さ、つまり勝率におけるレートは魔王の魔法によって頭の上に表示される。 サツキが家から出ないのもコレが理由の一つである。 サツキのレートは1200。ちなみに開始レートは人間の場合500がスタートとなる。 これは注目されても無理は無い。 町の大通りを歩くたび、声をかけられ決闘を申し込まれ、アイドルの勧誘やらもう面倒。 裏路地を通り、大通りに出る。 しかし、少し騒がしい。 強いプレイヤーだろうか? それとも犯罪だろうか? 強者がいるならそれはそれで犯罪よりタチが悪い。 とはいえ金沢はあんまり強いプレイヤーがいない。 つまり強者の場合極端に高い僕は勝負に挑まれやすい。 大通りにはバーゲンセールかのように人が集まっていた。 「いや、待て」 明らかに人間じゃないのが1人いる。 恐らくもう試合が、終わった頃だろう。 結構遠くから見ているからよくわからない。 でも人間側が土下座しているのがわかる。 「だから決闘はイヤなんだよ……」 ボソッとつぶやいたその時 「…ユキムラサツキ!」 そこにいたのは銀髪の少年だったがあの冷静なサツキですら困惑してしまった。 鬼の種族かと思えば、彼の頭には猛牛のような角が生えていて背中には黒く大きな翼が生えていた。 「俺と決闘だ!ユキムラサツキ!」 悪魔は飛翔しこちらへとやってくる…。
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