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まさに相手の戦法は悪魔の如く容赦なく攻め入る戦法だった。
アスタロト
1ゲーム獲得!
「はぁはぁ……」
「もう終わりか?ユキムラサツキ?」
「まだ、です……」
2ゲーム目開始
アスタロトのサーブから圧倒され、着々と点数を稼がれた。
しかし、僕も恐らく弱点であるミドルを狙い強打のラリーを仕掛ける。
8 ー 10
サーブ権は僕だ。
「どうした?降参か?ユキムラサツキ」
「こんなところで諦めてられっかよぉ!」
「……!?」
8 ー 10
魔王様の命令とはいえ、このような人間をあの大会に出してよいのだろうか。
俺は試合中に何度もこの事が引っかかっていた。
人間は弱い。臆病で愚かで傲慢で怠惰で。
何の取り柄のない種族。そう教えられていた。
悪魔こそトップだと。
しかし、俺の支える魔王様は悪魔も人間も平等だと言っていた。
魔王様は人間が好きなのか?いや、好きとは何だ?
勝利だけを教えられてきたエリートの俺には分からん。
あと1点。だがあのユキムラサツキ、身の内に強大なパワーが秘められているに違いない。
正直、人間を認めたくはないがラリー中に感じた、奴の本気はそんなものではないと。
「こんなところで諦めてられっかよぉ!」
一瞬だがコイツの眼が赤く光った。
なんだ、あれは。
まさか!?
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