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「はぁ」
宮野の濁りの無い瞳。そこにあたしがいるんだね。あたしは頬を真っ赤に染めて照れていると、彼は、屈託無く笑ったのだ。
ドクンッ。
胸の奥で何かがうねっている。
熱い血潮。熱い想い……。ふと、思った。確か、感情の高ぶりには、熱いっていう漢字を使うんだよなぁ……。
ええっ。何だか恥しい。やばい。やばいよーーーー。鼓動が早打ちしている!
頭がのぼせるような熱を呼び込んでいる。 氷の原野に太陽が射して可憐な花が、丘全体に小花がサーッと咲いたような感じ。心がホッコリと暖かなって雪解けが始まっているような気がする。
ああ、君こそすごいよ。
ああ、世界が澄み渡り、すべてのものがキラキラと無垢な輝きを発している。あたしは、ちょっと恥ずかしそうに告げていた。
「……嬉しいよ。宮野君、素敵な一番をありがとう」
ルンルン。ランラン。スピッツの歌の世界に溶け込んで、ヒラリと舞い上がっていくかのような感じ。うふふ。すべてが綺麗だわ。軽やかで健やかな空が広がっている。
これからも、どうぞよろしくね。あたしは宮野の手を握ってからニコッと微笑みかける。この世界はとても綺麗だ。
おわり
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