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勇者たちは戸惑いを隠せてないが、魔王様に詰め寄る。
『いい男を見つけたな! イリス!!』
ドンっ! と地響きが聞こえると共に魔王城が揺れ始める。
大広間に目線を送ると、魔王様が紅く光る大きな魔法陣の真ん中に立ち、唱えていた。
まさか……この城を壊す……のですね。自分もろとも。
『悔いはなくなった』ですか。娘の声が聞きたいという親らしい〝悔い〟。
それは例え、どんな問いであろうとも。
――安心してください、魔王様。
子供はコウノトリが運んでくるくらい、僕は知っています。
〝百聞は一見に如かず〟にはできませんが、タイミングを見計らって教えることにしますので。
僕も子供がどう運ばれているのか実際に見て見たいですし!
……はぁあ~い。
「じゃあ行きましょうか!」
イリスの手を取り、走り出す。
「どこに行くの?」
小首をかしげて問うてくるイリス。
う~ん。どこに行きましょう?
『魔王城から逃げ出す』っていうのが目的だけど、その後のことは考えてなかったです。
「まあ、好きなように進みますか」
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