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空から降ってきた女神
とりあえず魔王様の命令通り、魔王城の脱出をクリア。
しかし気がかりだったのは、居るあるはずの武装員の死体はなく、血もなく、まるで何事もなかったように綺麗だったこと。
魔法検知できるイリス曰く、浄化魔法を使われたらしい。
確かにそれはさすがに無理ですよ。
魔族は浄化系の魔法が弱点で、跡形もなく消えてしまうという。
……お気の毒に。
さて、そんなところを横目に、本当にどうしますかあ~?
少し歩いて、下が透けて見えるほどの綺麗な水が張っている大きな湖の近くまで来れた。
一応は緊迫した雰囲気の中、立ち続けるのは思っていた以上にきつかった。
それから解放されたら、無意識に腕を上げて背伸びをしてしまう。
「……ん」
イリスは僕をじっと見て、手を前に出した。
『繋げ』、と?
黙っているが、たぶんそういうことなんでしょう。
再び小さな手を握ると、彼女はニッと笑顔になる。
「あの……ですね、イリス?」
一歩踏み出して、振り返る格好になるイリス。
その表情はこれぽっちの汚れはなく、真っ白で、純白で。
「これから先、何が起こるか分かりません。予想外のことが起きるのは必然です。それでもイリスは――」
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