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『前に進むのか』と問うのを遮るように、割り込んできた。
「何言ってるの? こうして魔族と人間が仲良くなれてる時点で、異常だと思うけど?」
…………。そう……で、すね。ハハッ、僕は一体何を怖がっていたんだろう。
つい、笑みが零れてしまった。
そういえば、人間であった僕に近づいてきたのは貴方が初めてでしたね。
お互い和解を求めることはしなかった同士。
和解を求めても、相手を信用しないで殺し合った仲。
千年以上も対立が起こっていたが、それでも寄ってきてくれたイリス。
どれだけ他の魔族からゴミと同じような仕打ちをされても、貴方だけは優しく接してくれましたね。
僕に光を灯してくれた少女は、こんなに小さくてもとてもたくましく、とても勇敢な人だ。
「ああ、もう貴方を信じ続けます。それが執事である僕の役目なのですから」
「えっ? 急になに?」
そりゃあ戸惑いますよね。
しかし、僕は月光で輝く、宝石のような瞳を見つめて、告白をする。
『これが、僕の誠意だ』、と。
真剣な思いが通じたようで、引きつった表情だったイリスはキリッとした表情になる。
「うん、ずっと隣に居てね。それだけでいいから」
…………うむ、いい絵になってるでしょう。
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