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腰くらいしか身長がないロリはうずくめた顔を上げて、上目遣いで、
「こわい? の。だから抱き着いてるの」
「実は全然怖くもなんともないんでしょ!? 勇者とか関係ないですよね!?」
見た目は幼いだが、それとは反して、彼女は『恐怖』という感情がない。
20メートルはある大きなたてがみを持つ『レーストラ』を前にしても、後退りはせず、
逆に前に進むイリス。それはただの強がりじゃなく、強者としてのふるまいだった。
無事、一人で自分の何倍とある巨大な獣を狩れた。
たしかにこれなら、次期魔王と呼ばれても不思議ではない。不思議じゃない……
「だって、抱き着きたかったもん」
どれだけ強い猛獣を倒したとしても、『魔王』と呼ばれるようになっても、
僕はたぶん『甘えん坊のロリっ娘』と思い続けるでしょう。
それは武装長になる人を子供の時から育ててきた武装員が、どれだけたくましくなっても子供扱いしてしまうのと同様で、
……ん? なんか魔王様の殺気を感じるような気がする。
あれれ? だって、今勇者と戦ってるからそんなこと――
『おい、執事。いい加減にせいよ』
「うっ――――わッ!! こわッ――――!! って、コホン。何でしょう? 魔王様」
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