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うっっわッホント怖いって! 心臓が張り裂けそうですって!!
耳に付けた通信機から、今戦っているはずの魔王様から冷たい声が聞こえてきた。
確かに乱れたが、咳ばらいをして口調を整えた。
魔王様は何か言いたげだったが、
『……まあいい。執事、お前はイリスを連れてここから立ち去れ』
「はい、すみませ――えっ?」
怒られると思ったら、今まで魔王様の口から出てこないと確信していた台詞が魔王様は落ち着いたトーンで、
『逃げろ』、と。
「どうして……で、ございましょう?」
『固てえ。もっとリラックスしろや。いつもイリスと話してる口調でええから』
『意見を言え』ですか? 急にハードルが上がりましたね……。
今まで『意見を言う』ということをしてこなかった。というか、できなかった。
周りから冷たい目線を送られたり、『奴隷の分際で口を利くのか』とどやられた時もあった。
しかし、魔王様の命令に逆らうことはできない。
一度、大きく深呼吸をして、初めて〝意見〟を言うことに覚悟した。
「どうしてですか? 貴方らしくない」
今までイリスの傍にずっといたが、それと同様に魔王様との距離も近かった。
ずっと後ろで。しかし武力も頭脳も底辺な僕は武装長より遠く、
だが、武装員よりも近くに居れた。
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