魔王城が勇者に攻められた話

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 ノイズのように聞こえる風の隙間から聞こえる機械音(こえ)は、どうやら勇者のようだ。  もの凄くイキがってますね、引きます……。 「魔王様? と言われてますけど、大丈夫ですか?」  無事だろうけど、一応確認です。  魔王様にそれは不要だと十分理解はしているのですが、 『ああ? お前も性格悪いな。一体誰に似たんだか』  ペッと唾を吐き、死んでいない魔王様。  えっ? 性格が悪いってどういうことですか!?  初めて性格について言われたが、それがまさかの悪口。嬉しくないです。 「あ…………」  また〝意見〟を言おうとしたが、口をつぐんだ。 『なんだ? 言いたいことがあるなら聞くぞ』  いつもなら触れないはずだが、今はなぜか話を続けようとする。  違和感を覚えたが、魔王様がこう言ってくれるのなら……  言わないでおこうかな。  だって! 絶対怒ることですもん! 『性格は憧れえている人に似る』なんて言ったらさ!  それも想像(イメージ)ではなく、目の前にいるのなら、正確な情報をもとに、憧れに近づこうとする――らしい。  それは性格に限ったことじゃなく、言葉遣いや戦闘スタイルだったりする。  確かに憧れと言うものは響きはいいかもしれない。しれないが……。     
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