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僕の性格が『悪い』のなら、その原形――憧れの人の性格が悪いということになる。
そして、僕があこがれている人は魔王様、貴方なのです。
ってことはです。ただの悪口に過ぎないのですよ。お分かりに?
『お前さ、儂の能力を忘れておらんか?』
だから僕は言えな――――い?
魔王様の能力、ですか? それはもちろん忘れるわけないですよ。
『そうか。なら、お前は間違っているな』
「間違っている……?」
多分、それはないと思いますけど。っていうか、声に出したかな?
そんな疑問を持って、魔王様の言葉に注目する。
『お前が思った通り、儂の能力は「心を読む」。合ってはいるが、少し間違っているぞ』
す、少し、ですか?
『お前は「眼で心を見る」と思っているようだが、儂はな。「耳で心を読む」んや』
「……それは、どういう?」
バカですみません、と一礼して問う。
『そのまんまだ。特に悩むところもないだろ』
「…………」
うむ、分からないです。悩むと言いますか、理解からないのですよ。
『そうか。分からんのか』
「………………あっ」
『理解したな?』
はい、分かりました。
さすが魔王様。〝百聞は一見に如かず〟ですか!
「恐怖ですね」
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