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なるほど。魔王様、貴方の悔いを取り除くことにします。
確かに僕には能力がない。凡人だから。
それでも、僕だって心を読むことだってできるのですよ。
だって、簡単なんだから。
「じゃあ魔王様。覚悟はよろしいですか?」
心を読ませて、意見を口に出すことを極力抑える。
僕は耳から通信機を外し、イリスに渡す。
渡されたイリスは戸惑ったように僕の顔を見たが、僕の意図がくみ取れたようで、頷いてこう言った。
「パパぁ~? こどもって、どうやってうまれるの?」
甘えるように、なんならわざとらしく聞こえるその問い。
どうしてこのタイミングでそれを聞こうと思ったのか、僕は愚か、魔王様も体まで止まってしまった。
そりゃあ、困りますよね。
勇者を5人も相手して、通話しているのだから相当な体力を使うはずなのに、そこに重い負荷を乗せてしまったのですから!
完全に鬼畜ですよ! これに関しては!!
『あ……? はあ…………? あっ、ああ――――執事が教えてくれるさ』
…………んん~~~~!?
「そうなの? ねえ、エア。エアは知ってるの?」
……嗚呼。確かにこれは困りますね。
こんな純粋な心がまさか、全く空気を読めないという。
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