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若者よ、時間はたっぷりあるじゃろう。 少しは歩みを止めてゆっくり己を考えなさい」 年の功と言うべきか、おじいさんのその言葉は考えさせられた。 特に何の考えも無しに大学へ行き、将来も何となくなるだろうという考えの中、何となく毎日を過ごした。 時間はたっぷりあったが、色んな事をしっかりと考えることなんてしなかった。 このスニーカーだってそうだ。 焦っているように見えて本当は心のどこかでそのうち何とかなると思っている。 神社に来たのは、医者に呪いじゃないかと言われたから足が向いたと思っていたが、おそらくそれも違う。 気晴らしみたいなものだろうし、何よりここに来てどうにかなるなんて本当は思ってなかった。 「考えるか。 簡単なようだけど、してなかったな」 「そうじゃよ。 簡単なことほど出来ないもんじゃ」 おじいさんはそう言うと、今一度神社に一礼をして俺の肩を軽くトンと叩き去っていった。 誰もいなくなった神社にポツンと取り残された俺だが、その静けさがとても心地よく、しばらくの間その場にただ立ち古びた神社を見ながら時間を過ごした。 「よし」 自分に言い聞かせるように俺は言葉を発し、家に帰ることにした。 その帰り道、俺はあの露店があった場所を通ることに。
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