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望みの夜は…
「あっ、ねぇねぇ! コレなんて良いんじゃない?」
「そうね。でもアオイなら、こっちの方が…」
「こっち? そうね、でも色が…」
ルナとヒミカがはしゃいだ様子で、ソウマの店の物を手に取り、見ている。
少し離れたところで、小物屋の店主のソウマとバイトのハズミ・マミヤが立ってその姿を見ている。
「女の子がああいった姿をすると、本当に可愛いですね」
「そうだな。ヒミカもキシと付き合うようになってから、カンジが柔らかくなったし?」
「ルナさんもキレイになりましたね。…でもコッチは…」
マミヤが暗い目で視線を送ったのは、マカだった。
店の角の所には、すっかり茶飲みスペースが出来てしまっていた。
本来ならば売り物のテーブルとイスのセットなのだが、マカが気に入って買い取ったので、ソウマも何も言えない。
そこでパソコンとノートを広げ、ケータイを操作しながら、メモを書いている。
「…あそこだけ、空間が違うな」
「異空間ができてるって! 空気が違うもん!」
マミヤとハズミは、まるでキャリアウーマンのように働くマカの姿に、恐怖を感じていた。
マカから発せられる雰囲気が、とても暗くてピリピリしているからだ。
実際、マカの表情はとても険しい。
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