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「僕はずっと待っていた。僕を救ってくれる人を。だけど、僕が救われるということは、君が救われないと言うこと」 少年は、私の手を握りしめて、ぽたぽたと涙を流した。 「あと1年で君は君でなくなってしまう。僕の中で生きると言っても、それは君ではない。僕は残りの1年で、君を、君の心を救ってあげたい。そう思って、色々手を尽くして、君にこうして会いに来た」 とても驚いた。 驚きすぎて、どうしていいか分からなかった。 それでも、嬉しかった。 家族にも見捨てられた私を、私のこの絶望で荒んだ心を、救ってあげたいと言ってくれたのが、たまらなく嬉しかった。 だけど私の喉は、もう声を発することも出来なくなっていた。 自分の手を握りしめてくれる手を、握り返すことも出来なかった。 ただ、力なく開いた目から、涙がとめどなく溢れてこぼれ落ちた。
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