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額を寄せあって
「もうあと1ヶ月しかないんだね」
彼はそう言って、目を潤ませた。
頬を寄せ合って、彼が優しく私の体を抱きしめて、私の体温を、その体に心に焼きつけた。
「僕は君の心をちゃんと救えたかな?」
私はゆっくり瞬きをして、『救えたよ』と瞬きで答えた。
「僕は君のこと、こんなに好きだけど、君の生命を救えない。その事が悔しいよ。悲しいよ。本当は君の全てを救いたかったよ」
私は力を振り絞って、彼の頬に自分の頬をくっつけた。
私はあなたを救えることが嬉しいと、心の底から思う。
私がとけて、あなたと融合して、あなたの悪い部分を治して、あなたを元気にして、あなたの生命を繋ぐ事が出来る。
大好きで大切な、あなたの一部となって、あなたと生き続ける。
そう思えるようになったのは、あなたが1年も私の元へ毎日通ってくれたから。
私の世界に素敵な色を塗ってくれたから。
そんなあなたが元気になるのなら
私はとけて自分が無くなることも
怖くはないよ
頬をくっつけただけで、これだけの私の思いは果たして通じたのだろうか…
分からないけれど、彼は何度も頬を擦り寄せて、涙を流した。
そして最後に
笑顔で
「ありがとう。また会おうね」
そう言ったのだった。
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