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私は生まれてからずっと病院で暮らしている。 父と 母と 姉と 時折来る親戚と あとは 担当の先生と看護師さん、検査技師さん それくらいしか知らない。 腕には常に点滴の針が刺さっていて 白や黄色や、たまに真っ赤な液体が 絶えず、ぽたん、ぽたんと落ちている。 私の世界は この白い病室だけで 窓から見える外の世界は、ほんのわずかで 晴れてるとか、雨が降ってるとか、 朝とか、夜とか そんなことしか分からない 食べ物も液体の物を流し込まれるだけ 美味しいも、不味いも感じない 歩くことも出来ない 手を動かすことも出来ない 言葉もほとんど発することが出来ない もちろん両親はすぐに 融合移植を願い出たけど 私の病には、それも通用しないと分かると 今度は医師から逆に告げられたという 国の定めた法に従って 16歳を迎えた時に生存していたら その身を融合移植の為に差し出して下さい、と。
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