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なんの変化もないままに 15歳の春を迎えた。 あと1年で、私はとけて、この世からなくなる。 あと1年 こんなに差し迫って来たのに、両親も、姉も、この病室を訪れる事はなかった。 愛していると言ってくれたのは 嘘だったのだろうか… しかし、今となっては、そんなこともどこかどうでも良くなっていて… その日は、 珍しく窓が少し開けられていて 心地よい風が 私の前髪を優しく揺らしていた。 風が気持ちいい そう思っていたのに、急にその風が遮られた。 重い瞼を持ち上げると、そこには見知らぬ少年が立っていた。 年は同じくらいだろうか? いつの間に入ってきたのだろう? ここの入院患者だろうか? 少年は、優しく微笑んで、私の手を握った。 「君が僕を助けてくれるんだね」 少年の言葉に、この人が私を移植される人達の中の一人だと気づいた。 だけど、誰が誰に移植するかなんて、情報が漏れることはないはずなのだけど。
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