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四 ぼくが溶けた
大混乱の給食時間の後、学校全体が閉鎖され、ぼくたちは下校になった。
ぼくは第二の計画を実行にうつすべく、前を歩くケンちゃんの黒いランドセルを見つめた。
心臓がどきどきと鳴っている。ぼくは唾を何度も飲み込んで、意を決して声をかけた。
「あの――伊藤くん」
緊張のあまり声が震えてしまった。
ケンちゃんはぎょっとしたように振り向くと、「なんだよ」と不機嫌そうに睨みつけてきた。ぼくみたいなのが話しかけてきて、びっくりしたのだろう。
「あ、あのさ。そこの自販機で間違ってオレンジジュースを買っちゃったんだけど、やっぱりすっぱくて苦手で……よかったら飲まない?」
ぼくはケンちゃんにジュースの缶を差し出した。
ケンちゃんは缶にちらっと目を馳せると、ぼくを見すえた。
「おまえ、それに猫入れただろ」
ぼくはうたれたように立ちすくんだ。
「あの給食騒ぎ、おまえのしわざだったのかよ。見かけによらずすげえことすんなあ」
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